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最高裁判所第二小法廷 昭和43年(ひ)1号 決定 1969年1月25日

主文

本件請求を棄却する。

理由

本件請求は、要するに、請求人らは、いわゆる八海事件の被告人として、二次控訴審において無罪の判決を受けたところ、検察官の上告申立があり、二次上告審はこれを容れて破棄差戻の判決をし、差戻審である三次控訴審は有罪の判決をしたが、請求人らの上告申立により、三次上告審は破棄無罪の判決をし、右無罪の判決が確定したところ、刑訴法三六八条による上訴費用の補償は、かかる場合にも当然適用されるべきであるから、右二次上告審、三次控訴審および三次上告審における費用の補償を請求する、というのである。

しかしながら、刑訴法三六八条は、検察官のみが上訴をした場合において、上訴が棄却され、または取り下げられる等、上訴が不当であったことが判明したときに、当該審級の裁判所が、被告人に対し、その審級において生じた費用を補償することを認めた規定であって、所論のごとく、検察官の上訴により破棄し差し戻されたその後の審級において、検察官の主張が窮極において否定されたという本件のような場合にまで適用されるものではないことはいうをまたない。

従って、本件請求は理由がないから、刑訴規則二三四条三項により棄却すべきものとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎)

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